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色覚タイプとその分類

公開: 2024年10月14日(月)
更新: 2024年10月14日(月)
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色の見え方が多数に比べ大きく異なる「色覚特性」を先天的に持つ人は日本人男性全体の約5%存在します。この記事では色覚特性とその分類について紹介し、当サイトが提供するシミュレーションの利用法について説明します。

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色の見え方には個人差があります。その中でも色の見え方が多数に比べ大きく異なる場合は、色覚の検査によって医学的に「色覚異常」と診断されます。

色覚異常には、遺伝的な要因から生まれ持って異常を持つ「先天色覚異常」と加齢や他の病気との合併症として「後天色覚異常」の2種類があります。

先天色覚異常を持つ日本人の割合は男性が約5%、女性が約0.2%と言われています。 男性の方が女性よりも色覚異常を持つ割合が高いのは、性染色体のうちX染色体だけが色覚異常の遺伝子を持つことに関連しています。 性染色体は男性がXY、女性がXXの組み合わせで持ちます。X染色体が色覚異常の遺伝子を有する確率が約5%であるので、1つのX染色体しか持たない男性は5%の確率で色覚異常になります。 しかし、女性は2つのX染色体を持つため、その両方が色覚異常の遺伝子を有する確率の5%×5%(0.25%)で色覚異常になります。

後天色覚異常も決して稀なことではありません。全人口の30%を超える割合で罹患する白内障を初めてとして、さまざまな病気が色覚異常を呈します。

色覚特性

昨今では色覚異常という名称に対してネガティブな印象を与える可能性があるため、「色弱」や「色覚特性」「色覚多様性」のような用語が使われることもあります。 過去には色盲という用語が使われていましたが、全て白黒に見えているのではないかといった誤解を招くため、現在では使われなくなっています。 このサイトでは色覚特性という用語を利用します。

色覚特性は網膜にある3種類の錐体のいづれかに欠損や異変がある場合に引き起こされ、異常が起きた錐体に応じて分類されます。

日本人の女性の約0.2%が色覚特性を持つのに対して、計算によって0.25%と求められた理由は染色体通しが同じ分類の色覚特性を有する必要があるためです。

色を感じるとは

色覚特性に分類について説明する前に、人が色を見る仕組みについて解説します。

眼の構造

光は瞳孔から眼球内部に入り、水晶体を通り抜けた後に網膜にぶつかります。 網膜は薄い細胞層からなり、層の底には光の情報を処理する2つの細胞があります。明るい場所で色を認識する「錐体」と暗い場所で僅かな光でも感じられる「杆体」です。 暗い場所へ行けば、色を感じ辛い(錐体の働きが弱くなることによる影響)一方で、モノの形や明暗を感じる(杆体の働きによる影響)ことを実感できます。

錐体は長波長の光を感じるL錐体と中波長の光を感じるM錐体、短波長の光を感じるS錐体の3種類があります。この3種類がそれぞれ出力する信号の強さによって、人間は色を感じるための情報を得ます。

錐体の信号は脳に送る前に、脳で色を判断するための情報へと変換します。

変換には3種類の部位を組み合わせます。

1つ目はL錐体とM錐体の信号から赤か緑かとそれぞれの色みの強さへ変換する部位です。 L錐体の信号がM錐体の信号と比較して強ければ赤色を感じ、M錐体の信号が強ければ緑色を感じます。つまり、L錐体やM推戴が単体で色を感じるわけではなく、比較することで色が生じるということです。

2つ目もL錐体とM錐体の信号を元に変換する部位です。この部位は明るさを感じる部位で、明るい場所での明暗差を識別します。暗い場所では杆体が支配的に働きます。

3つ目は黄か青かとそれぞれの色みの強さへ変換する部位です。 S錐体の信号の強さがL錐体とM錐体の信号の合計の強さに対し、強ければ青色を感じ、弱ければ黄色を感じます。

変更した3つの情報をもとに、脳の後頭葉が色の色みと明るさ、鮮やかさの属性や基本色を元にしたカテゴリー分類を行い、我々は色を感じられます。

(画像の引用^1)

1型色覚(Protan)

1型色覚はL錐体の異常によって引き起こされます。1型色覚はさらにL錐体が欠損している1型2色覚と、L錐体がM錐体に近い感度をもつ1型3色覚に分かれます。

日本人男性の約1.5%が先天的にこの色覚特性を持っています。

2型色覚(Deutan)

2型色覚はM錐体の以上によって引き起こされます。2型色覚はさらにM錐体が欠損している2型2色覚と、M錐体がL錐体に近い感度をもつ2型3色覚に分かれます。

日本人男性の約3.5%が先天的にこの色覚特性を持っており、最も多い色覚特性です。

3型色覚(Tritan)

3型色覚はS錐体の以上によって引き起こされます。 3型色覚は病気等が原因となり後天的に引き起こされることが多く、病気の回復とともに元に戻ります。 先天性に持つ人は極めて稀なため、詳しいことはわかっていません。

1色覚

L錐体、M錐体、S錐体の内1つ若しくは1つも働かない場合の色覚特性です。 色味の違いを全く感じられず、明暗のみを感じることができます。 こちらの特性も先天性に持つ人は極めて稀なため、詳しいことはわかっていません。

各特性を感じてみる

本サイトでは、色覚特性を体験するためのシミュレーションを行えます。 ヘッダーの右から2つめのアイコンボタンをクリックすることで、シミュレーションを行いたい任意の色覚特性を選択できます。

シミュレーションを行う操作の説明

あくまでシミュレーションなので、実際に色覚特性を持っている人が見えている世界をそのまま再現したモノではありません。 そして、これを有効にすることで色覚特性の色に対するハンディキャップの一部しか知れないことを理解してください。 しかし、色覚特性を持つ人がどのように色を感じているかを知るためには、有効な手段と考えています。そのための一助として利用してください。